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| 「落語」 みなさん落語をご覧になったことはありますか?実際に寄席に行かれた事は無いという方でも、テレビの長寿番組である「笑点」ならご覧になった事があるという方も多いかと思います、簡単に言えば着物を着た噺家が寄席の舞台上で座布団に正座して話芸(笑える話や泣ける話)を披露するという演芸のことをいいます。日本固有の話芸である落語は江戸時代初期に生まれました。当時は古典落語として噺家から噺家へと口伝され、その都度修正を加えられてきました。新作落語というのは、全てが噺家の創作であり、噺家の持つ独自性をより自由に表現する事が可能となりました。 余談ですが、1966年に今は亡き三浦綾子の長編小説「氷点」が一躍ベストセラーとなりましたが、実は「笑点」という命名は、この「氷点」から来ているとのこと、ご存知でしたでしょうか?つまり氷点人気にあやかりたいという希望が込められた番組名だった訳です。結果は見事30年を超える長寿番組となり今もなお、その長寿記録を更新中です。 さて、噺家は通常着物を着ますが、時として羽織や袴を着用する事もあります。通常舞台に用意された座布団の上に正座して話をしますが、小道具としては、扇子と手ぬぐいが挙げられます。扇子と手ぬぐいと言っても、扇いだり汗を拭いたりするのみではありません。落語の中で小道具として様々に変化するのです。例えば、扇子はお箸や煙管、ペン等に変化し、手ぬぐいは本や紙幣となって落語を生き生きと盛り上げます。噺家はそれら小道具と話術のみで複数の登場人物のやり取りを表現します。首を左右に振ったり上下に振ったりして2人の会話を表現したりします。面白いのは身分が上の人が話す場面は目線を右下に向け、身分の下の人が上の人に話す時には左上に目線を送ります。噺家はこれらの見事な技術によって落語をより鮮やかに表現するのです。落語の中で語られるお話は日本古来の行事や風習に基づいた話が多く存在するので、落語を聴く事により、昔の日本の庶民生活への理解を深めることが出来るだけでなく、人間味溢れる、しみじみとした笑いに心を和ませることが出来ます。 それでは、最後に落語とはどういうものか?皆さんによりよく理解して頂く為に、「猫の皿」という小話を紹介します。 ●猫の皿 旅に出て骨董の掘り出し物を探している道具屋。川越の茶店で一休みしていると、猫が餌を食べていて、皿を見ると、「高麗の梅鉢」という高価な代物。主人はその値打ちがわかっていない様子です。 「じいさんや、のどかというのはきょうのような天気だね?」 「結構なお日和で」 「景色もいいやね。それに、あの松はなんとも言えないね。まったく」 「へえ、みなさまそうおっしゃいます」 「それに、猫もいいね。こっちへおいで」 「お客様、そいつはおよしはなさい。尻尾ばっかり長くて」 「いいじゃないか、尻尾が長いってえのは。尻尾で人の首を絞めるわけじゃないだろう」 「そいつ、およしなさい。毛が抜けますよ」 「いいんだよ、おれ、好きなんだから。ははは。膝の上に乗って居眠りをしだしたよ。 すっかり、おれになついちまったぜ。この猫、もらっていいかな? うちのかかあがね、欲しいと言ってるんだよ」 「困りましたな。うちのばあさんに先に逝かれてちゃってね。 こんな猫でも淋しさが紛れるんで……」 「猫はただでもらうんじゃない。鰹節代をおこう。小判三枚で売ってくれ」 「そんなにお金を?」 「いいんだよ、いいんだよ」 「どうも弱りましたなあ……。わかりました。たいそう可愛がっていただけそうですから」 ようやく、じいさんを承諾させた道具屋でしたが、餌を上げるのには使いなれた皿がいいからと言って、梅鉢の皿を包ませようとすると、これがもくろみ通りにはいきません。 「お客さん、その皿は勘弁してください。ご存じないかもしれませんが、この皿は高麗の 梅鉢で三百両は下らないという代物なんです」 「へえ、そうかい。けど、なんでそんな高い皿で猫に餌なんかやってるんだい?」 「こうしておくと、時々猫が三両で売れますんで」 (終) |
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