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「問われる経営者のモラル」
 ライブドアによるニッポン放送の買収劇が政財界をも巻き込んだ大論争に発展している。 
事の発端は事業規模の大きいフジテレビが事業規模の小さいニッポン放送の子会社とな
っている「ねじれ現象」にあった。 それを是正するためにニッポン放送の株式の「50%超の
取得」を目指しフジテレビが公開買い付け「TOB」を行ったが、中核企業であるニッポン放送
の経営権を握ればフジサンケイグループ全体への影響力を行使できることに目をつけたライブ
ドアが東証の時間外取引にて大量の株式を取得、一気に35%超の筆頭株主に躍り出
た。
 市場の公平性や透明性の観点からフジのTOBの最中に時間外取引で大量の株を取得
することへの疑問もさることながら問題は株の購入資金の調達方法である。
ライブドアがリーマンブラザースと契約を結ぶ800億円にものぼる資金調達のために発行す
る転換社債は、株価が下がれば転換価格も低下する条項がついており、リーマンブラザー
スにとっては株価が下がれば下がるほど転換できる株数が増えるメリットがある。
さらにライブドア社長の堀江氏はリーマンブラザースに対し株価下落を誘発する可能性のあ
る「カラ売り」を可能にする貸株の契約を結んだ。 これはいわばライブドアの既存株主の利
益を担保にギャンブルを行っているといわれても仕方が無い。さらに今回の買収劇でよく見え
ないのは、堀江氏がどのような経営理念をもってフジサンケイグループの買収に臨もうとしてい
るかである。 

 堀江氏は常日頃からライブドアを世界一の時価総額を持つ会社にしたいと語っている。
そのためにはライブドアの中核事業と位置付けているであるポータル事業の集客力を上げる
ことが必要であり、買収の狙いはフジサンケイグループが保有するコンテンツやブランド力をツ
ールとしてポータル事業を強化することにあるのではないか。 しかし企業の価値というものは
時価総額や事業規模のみで図られるべきではない。 経営者や社員が長い時間を掛け
培った信用力や社会的貢献といったものが目に見えない企業の文化やブランド力となって
企業の価値を構成しているのである。日本的と言われるかもしれないが私にはそういった経
営者や社員の過去の努力に対し敬意を払うことなく、買収という手段をつかって経済性の
みを追求しようとするライブドアの姿勢が納得 できない。企業の経営者は社員や株主、
取引先といったステークホルダー達の要求に最大限応え、社会や環境、経済といったもの
に貢献する社会的責任を負う。堀江氏はニッポン放送の社員や株主に対し、どうやってニ
ッポン放送の企業価値を高めていこうと考えているのかを説明すべきだ。たとえ今回の買収
が成功したとしても経営者が志をもって経営にあたらなければ社員や株主、世論の理解を
得ることはできないと思う。




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