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| 3月14日午後6時半ペナン沖のマラッカ海峡で日本船籍のタグボート「韋駄天」が海賊に襲撃され、船長を含む乗組員3人が拉致され連れさらわれた。 「韋駄天」が所属する近藤海事の近藤観司社長は16日深夜ペナン国際空港に到着、関係機関と協力し情報収集し、複数 のルートから海賊グループとの接触を図った。近藤社長は最初の段階から「テロではないので、私にミスが無い限り救出できると確信している。あらゆる方策を取る」と述べ、また北九州市の近藤海事本社も「わが社単独の考え」と断った上で、人命救助を第一と考え、身代金などの要求があった場合は応じる姿勢を表明した。海賊は襲撃の際に「韋駄天」より奪った携帯電話を使用して近藤海事側に接触し、身代金を要求したとみられる。その後の水面下の交渉の結果、3人は20日に無事開放された。近藤社長は明らかにしてはいないが、海賊グループと何らかの取引があったとみられている。 我々日本人は海賊というと、ピーターパンのようなお伽噺の世界を思い浮かべてしまうほど遠い世界の出来事であるが、業務上で日常的にその海域を往航している船主にとっては他人事ではない。 今回スピード解決に至った背景には、事件勃発後直ちに最高責任者である社長が現地に飛び、人命救助第一という一貫した方針のもと、自ら陣頭指揮をとりながら、独自の交渉チャンネルを駆使して海賊グループと交渉したことにある。近藤海事側は海賊行為自体がビジネスであるという本質を熟知し、取引の相場をも知り尽くしたうえで、起こりうるべきリスクに備えて普段から人脈を構築し、取りうる手段を想定して危機管理を行ってきたということなのであろう。身代金を支払ったとなると、とかく日本人をターゲットとした同様の事件を誘発する。との紋切り型の批判が起こる。しかし海賊自体が我々から縁遠い存在であるように、身近なアジアでさえも先進国の価値観でははかりきれない世界があることを思い知らされる。郷に入れば郷に従えということわざがあるが、いまはやりの画一的なグローバルスタンダードが対処しきれない世界が存在することを改めて考えさせられた。 2005.3.25 |
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