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「宮本武蔵 (1584 - 1645)」
二天一流の創始者であり、武士道の原型を説いたとされる 宮本武蔵。 武蔵は幼い頃より剣術に長け、13歳にして 新当流の有馬喜兵衛(ありまきへい)に打ち勝って以来、 29歳頃まで諸国を巡りながら剣の道一筋に練磨し 60余りもの勝負で一度も負けたことがなかったと 言われています。 中でも剣豪、佐々木小次郎のとの巌流島の決闘は後世 にまで語り継がれ、舞台や時代劇などで繰り返し演じられ てきました。 巌流島の決闘の有名な一説に宮本武蔵の遅刻がありま す。約束の時間より2時間遅れで到着した武蔵。 これは佐々木小次郎をじらすための作戦だったのではない かと考えられています。 また、この巌流島の決闘で小次郎は物干し竿ほどもある長い 刀で挑んだのに対し、武蔵が使った武器は舟の櫂を削って作られたものだったそうです。 結果は武蔵の勝利。 なぜ櫂で作った刀で武蔵が勝てたのか、TV番組でも取り上げ られ、木刀、櫂の刀、櫂の刀と同じ重さの鉄パイプで10枚の瓦割を実験したところ、 木刀では3枚、鉄パイプでは7枚、櫂の刀では9枚を割るという結果が出ました。 これは櫂の刀は重心が先の方にあり、振り下ろした時の勢いが強い破壊力を生む ことに因るのだそうです。 武蔵は自身の剣術だけに頼るのではなく、状況判断や洞察力を以って挑む合理主義 であったのかもしれません。 その後、武蔵は剣術だけではなく、水墨画や彫刻などの芸術家としてもその才能を発揮 します。晩年執筆した「五輪書」や「独行道(どっこうどう)」では兵法だけでなく、人間性を 高める精神論を説き、没後350年を経た現代まで日本のみならず世界で愛読されて います。 「五輪書」は地・水・火・風・空の5巻で構成され、「地の巻」では兵法の基礎と心がけを、 「水の巻」では一対一の立合いの心得を、「火の巻」では個人・集団における戦いについて の解説、「風の巻」では他流派と武蔵自身の兵法との比較検討、「空の巻」では全体の 結論を述べていています。 「五輪書」に書かれている武蔵の言葉を紹介しましょう。 各巻一文ずつの抜粋ですが、短い言葉の中に込められた武蔵の熱い想い、その道を極め たからこそ見出されたであろう説得力のある精神論に現代でも私達を魅了する理由が わかるかもしれません。 「地の巻」 ・先、武士は文武ニ道といひて、二つの道を嗜む事、是道也 【解説】仕事ばかりしている人間には魅力はない。 多芸とまでは言わずとも趣味を持ち、芸術に触れることは人間性を 高める。 「水の巻」 ・心の持ちようは、常の心に替る事なかれ 【解説】平常心を失うな。 「火の巻」 ・場の徳を用て、場のかちを得る 【解説】環境をフル活用せよ。 「風の巻」 ・兵法の目付は、大形、其人の心に付たる眼なり。 【解説】目で見ず、心で観よ。 「空の巻」 鍛錬を重ねてこそ迷いが晴れた空の境地を悟ることができる。 (終) |
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