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「もったいない」
 日本語のもったいない(mottainai)が世界で注目されている。毎日新聞によれば、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア副環境相、ワンガリ・マータイさんが今年の3月にニューヨークの国連本部で開かれた「国連婦人の地位向上委員会」で演説し、毎日新聞社の招きで2月に来日した際に日本語の「もったいない」という言葉を知ったと話し、これをキーワードに「女性たちによる世界的『もったいない』キャンペーンを展開し、資源を効率良く利用しましょう」と訴えた。この中でマータイさんは、日本政府が(1) リデュース(ごみの減量)(2) リユース(再使用)(3)リサイクル(再利用)の3R運動に取り組んでいることを紹介。ローマ字で「MOTTAINAI」と書かれたTシャツを手に、「日本ではこれらを『もったいない』の一言で表します」と説明した。マータイさんは日本から帰国後に、ケニア・ナイロビに本部を置く国連環境計画(UNEP)のテプファー事務局長と会談し、3Rにリペア(修繕する)を加えた4Rを「もったいない」運動としてはどうかといわれたという。演説でも「4R運動で持続可能な開発を実現し、限りある資源を有効活用し、公平に分配すれば、資源をめぐる紛争は起きない」と訴えた。という。
 確かに「もったいない」という概念を一言で表す英語はない。日本と違い、国土も資源も豊富な欧米諸国ではもったいないという感覚はなかったのかもしれない。世界的に資源保護の意識が高まる中で、思わぬところで旧来の日本の価値観が見直された格好だが、日本人のなかにおいて「もったいない」という気持ちは確実に薄れていると思う。かつて、日本の食文化の原点である精進料理では、食事を戴くことによって自分が生かされていることを自覚し、自分がこの食事を食べることに値するだけの行いをしているのだろうかと反省する気持ちを持つことを求められる。それゆえ食材を使い切ることは殺生とみなされており、どんな食材でも全てを使い切ることにより往生させることができると考えられていた。翻って日本の現状を見てみると、例えばコンビニエンスストアやスーパーでは、時間がたって鮮度の落ちた弁当を廃棄しているが、その量は年間約60万トン、毎年300万人分の食事を捨てている計算になるという。行き過ぎた商業主義が大量消費社会を生み出している。

 近年インドや中国などの人口大国の経済成長が著しいが、かれらが先進国並の生活レベルを享受するようになると、地球上の資源があっという間に枯渇すること言われている。日本の美徳である「もったいない」を日本人自らの手で世界に広めていくことこそが、ある意味、国連の常任理事国入りを狙うよりも日本にとっては国際社会に貢献するという意味では重要なのかもしれない。

2005.8.5



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