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「郵政民営化」
 郵政民営化法案が参議院で否決されたことをきっかけに衆議院が解散、今月11日に総選挙が行われることとなった。今回の選挙で注目されるのは与野党の対立のみならず、自民党内部でも郵政事業の賛否をめぐって党内が分裂したことだ。自民党執行部は反対派議員を公認することをせず、同じ選挙区の中で自民党公認候補と元自民党反対派候補が議席を争うという前代未聞の事態が発生している。

 そもそも民営化の目的は三百三十兆円にも及ぶ郵貯・簡保資金が財政投融資資金として道路公団や社会保険庁などの特殊法人や政府系金融機関に野放図に充当されてきたことを食い止め、それを市場に還流させることによって経済の活性化を図ることにある。それに対する反対派の主張は、利益優先の民営会社では不採算郵便局が減らされ、地方や過疎地の郵便局が切り捨てられてしまうのではないかというところにあるようだ。もちろん公共性の高いサービスは地方においても維持されるべきというのは正論である。 
 しかしそれだけの理由で彼らが民営化に反対するのには首を傾げざるを得ない。反対派はよく「地方の切り捨て」という言葉を使うが、例えば膨大な費用を掛けてめったに車の通らない道路や無駄な空港をつくることが果たして地方の活性化に必要なことなのだろうか?そこには地方救済の大義名分のもとに現在の制度の下で利益を得ている企業や個人のグループと、彼らの利益を代表する政治家や官僚が既得権益を守ろうとする思惑が透けて見える。そもそも筆者はコストマインドのない官僚主導の地方活性化などありえないと考える。高速道路しかり、成田空港しかり、社会保険庁しかり、民間では経営破たんに当たるような過ちを犯しても責任を問われないのが官僚の特徴だ。驚くべきことだがいわゆるコーポレートガバナンスとは無縁の世界なのである。確かに一極集中型の日本において、地方に自活を求めるのは酷であろう。しかし、例えば地方においても、旭山動物園やJリーグに所属するいくつかのチームの様に健全な経営を行っている事業体は少なくない。要は自治体の責任者がきちんとした経営マインドと志をもって運営しようという意識をもつことが重要なのである。地方の活性化のためには、政府が最低限のセーフティーネットを準備することが必要だ。その上で優秀な民間経営者の視点を入れながら地方自治体としての自助努力を行っていくという姿勢が不可欠ではないだろうか。

 今回の選挙では、年金の問題や外交の問題等、郵政民営化よりももっと重要な問題がないがしろにされているという指摘がある。しかし、少なくとも今回の選挙は規制緩和というテーマについて恐らく初めて民意を問う選挙になるはずであり、結果に注目したい。

2005.09.09



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