| English |
| 「サラリーマンはつらいよ」 日本人にとって米国で仕事をするときに感じる違和感は、米国人社員と日本人社員の仕事や自分の生活に対する価値観の違いである。米国人社員は大事な会議が予定されているときでさえ家族の病気や子供の教育問題を理由に遅刻や早退をすることがままあり、その様な時にどういう対応をすべきか日本人上司は戸惑うことが多い。日本人の場合、家族の都合は後回しであり、いかに自分が家庭を顧みない夫であるかを自慢し合う風潮さえある。 かつて「モーレツ社員」と言う言葉が流行ったことがある。60年代の高度経済成長時代に、出世の為に家族や自分の生活を犠牲にして仕事=会社生活に全てを掛けてきたサラリーマンの事だ。終身雇用、年功賃金制度といった家族主義的な経営の枠組みの中で、社員は会社や上司に忠誠を誓い、休日や余暇を犠牲にして社業の発展の為に貢献することが美徳とされてきた。軍隊並の合宿研修がもてはやされ、一種のマインドコントロールで社員を規格化していった。ただ当時は、働けば働いただけ結果がついてきた時代、だが、果たして求めたものは得られたのだろうか?当時の「モーレツ社員」世代は現在の重役クラスの年代であるが、成功組みである重役とて欧米の企業の様に責任に見合った報酬を得ることはできず、ましてや殆どのサラリーマンは窓際に追いやられたり子会社への出向をすすめられたりした結果、定年退職に追い込まれているのが現状である。この様に会社における役割以外の人生を送ってこず、家族の中の居場所をもたず、仕事を離れた友人関係が乏しく、趣味といえるものを持たない人間にとって休日は苦痛以外のなにものでもない。日曜日を過ごす術がわからず、休日が近づくと不安になり、くつろぐことができない日曜神経症になったり、濡れ落ち葉と揶揄されるように、何をして良いか分からずただ妻の後をつきまとって、邪魔者扱いさる始末である。 高度経済成長が過ぎ去ると、モーレツ社員に替わり“五時から男”がもてはやされるようになり、週休二日制の導入などにより余暇を楽しもう、充実させようという風潮が高まってきた。それに呼応するように業績連動賃金の導入や終身雇用性、年金賃金制等、実力主義・能力賃金制の時代が到来して、忠誠心より貢献度、人望より力量を評価するようになると巷では言われているが、果たして本当にそうなるのだろうか?2003年度入社の新入社員を対象とした意識調査で、「仕事とデートのどちらを取るか」の質問で、驚くべきことに「仕事を取る」が高度経済成長時代を含めて調査開始以来過去最高の78.5%をマークしたと聞く。理念とは裏腹に農耕民族を先祖にもつ我々にとって、家族主義的な、和を尊ぶ終身雇用制が最も居心地が良いのかもしれない。 (終) |
(C) Copyright 2003- JPN-MIYABI All Rights Reserved.