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「度重なる医療ミス」

 医療事故が多発している。昨年秋に発覚した東京慈恵会医大青戸病院の死亡事故では、三人の医師が前立腺ガンの摘出手術をする際に、初めて手がける腹腔鏡手術をマニュアル片手に行った結果、止血の処置がうまくできず患者を死なせてしまった。我々一般人にとって医師とは自分自身や家族が病気やけがを負ったときに生死を委ねることのできる唯一の人間であるが、極めて専門性の高い先端医療の世界において知識をもたない我々が医師のとった処置が正しいかどうか判断することは殆ど不可能であり、ただただ医師の良心にすがり、ベストを尽くしてくれることを祈るばかりである。しかし現実にはたとえ患者を死に至らしめるようなミスをおこしても医師自らが告白し、過失を認めぬ限り明るみに出るチャンスは殆どない。
 度重なる医療ミスを重くみて、厚生省は来年度から新しい臨床研修制度を始めることを決めた。これまでの研修医が大学病院と一診療科のみの研修に偏り、専門以外のことは分からないという、技術も視野も狭い医師を生み出してきた反省に基づき、医学部を卒業して医師の国家試験に合格した者に対し、二年間、内科、外科、小児科、救急など最低7診療科の臨床研修を義務付けるものだ。
 医師の知識、技術面での改革の重要性は言うまでもないが、最も重要なのは、医師のモラルの回復ではないか。ミスを完全になくすことは難しいが、医師と患者の信頼関係はその過ちを包み隠さず公表し、説明することから成り立っている。医師の国家試験は司法試験と並び、最も難しい試験のひとつとされる。ただ、医師になるための試験は専門知識の深さや技術の習得度の高さを競うだけではなく、より受験者の倫理観の高さを重視したものであることを求めたい。 (終)


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