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「書道」

 西洋でも文字を美しく書くCalligraphyがあるように、日本ではそれに相当するものが「書道」です。書道は漢字や仮名文字を毛筆と墨で書きます。作りが複雑な漢字は一字一字に意味があり、毛筆と墨で書くことによって同じ文字でも強さやしなやかさ、太さ等の違いが生まれます。また、書く人の意志や思いを表現することでもあり、書道とはその表現美と内容美の融合によって精神的な奥深さ、美しさを表現する造形芸術と言えましょう。

 漢字は西暦285年頃、中国から伝わりました。その後西暦610年、韓国の僧 曇徴(どんちょう)が紙と墨を持参し日本へ伝わったと言われています。現在、書には様々なジャンルがありますが、大きくは2つに分けられ、決められた様式に基づいて見やすく、読みやすく書く実用書道と、書く人の思いや心を表現する芸術書道に分かれます。書を習得するには筆法・筆意・筆勢の基本三要素をきちんと学ばなければなりません。芸術書道として作品を書く場合は、さらに墨色やスタイルを考え、何度も書き直しながら制作します。例えば、花という文字を書く場合でも、桜のような優しい花を書くのか、向日葵のような情熱的な花を書くのか、書こうとする花にあった墨色、スタイルを考えなければなりません。 一方、私達が作品を鑑賞するとき、何という文字が書かれているのか解らない場合があります。しかし、それは無理して読まず、なんとなく良いと感じればそれでよいのです。 良い作品とは綺麗に書かれていることではなく、鑑賞する人の心を打つものが良いとされています。

 20世紀前半までは学校教育でも書道を重視していたので、現在70歳以上のほとんどの人は毛筆が使えますが、現在では選択教科になっていたり、書道を学びたい人は個人的に書道教室に通ったり、通信教育などを通して習得する人もいます。また、冠婚葬祭などの正式な場で記帳をする際に毛筆を要する場合があるので、書道を習いたいという人には、書に興味があるほか、きちんとした文字を書きたいといった目的で習い始める人もいます。
 名士の書いた毛筆を和室の床の間に飾ったり、お正月2日におめでたい言葉や縁起のよい言葉を毛筆で書く「書初め」はお正月の風物詩として現在でも広く行われています。ひと昔前は落ち着きのない子供に精神統一を目的として書道を習わせるといった親御さんもいたようです。確かに、文字を書く前には墨を磨るという作業があり、その墨を磨る時間だけでも心が落ち着くものです。ワープロやパソコンが普及している現代では直筆でしかも毛筆を使うことも少なくなりましたが、指先を通して伝わる毛筆独特の感覚に一度触れてみてはいかがでしょう。 (終)


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