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「お役所仕事」

 そのニュースを聞いたとき入管の行なった判断のあまりの非常識さに耳を疑うとともに、同じ日本人として恥ずかしくなった。父親が出生直前に交通事故で死亡し、重病であった母親をも2002年5月に亡くしたタイ人の13歳の少女が日本人と結婚した祖母を頼って昨年2月に来日した。その後少女は祖母の日本人の夫と養子縁組をし、90日の短期滞在ビザの更新を行いながら昨年10月に3年以内の在留を認める「定住者」資格を求めて申請を行なったが「定住者資格を得られる養子縁組の要件である6歳未満を満たしていない」ことを理由に法務省東京入国管理局に退けられ、今年2月に行なった再申請も今月7日に却下されたという。短期滞在ビザの期限がきれた少女は危うく強制退去処分になるところであった。入管の判断のベースには恐らく不法滞在労働者の増加による外国人犯罪が急増している状況のもと、規制緩和につながるような新たな前例をつくりたくなかったことにあると推測されるが、既に昨年の11月に家裁で日本人男性との養子縁組が認められているという事実があり、かつタイに強制送還された場合、身寄りのないこの少女に生活の基盤がないことが明白であるにも関わらず、その判断のもたらす結果の重大さに思いをはせることなくただ事務的に物事を処理してしまおうとする"お役所的"な仕事のやり方は"民間人"である我々の常識ではとうてい理解できない。法務省だけでなく、全ての日本の省庁に言えることだが、常に自分たちの組織の利益が最優先であり、サービスの受益者たる我々の利益にたった視点が欠如しているように思えてならない。その後彼女の通う学校や地元の関係者が約6千人もの署名を集めたことにより、法相が入管に再検討を命じるところとなり、ひとまず強制退去処分は免れることとなったが、その背景にはインターネット等情報技術の発達が、想像以上に世論の形成を容易にしていることも影響しているのではなかろうか。個人には強気に振舞いながら一たび事実が明るみになると世論の動向には臆病なところがいかにもまたお役所的である。(終)


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