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「イラクの十字軍」
| 恐怖。 昨今の出来事をひとことで要約するならこの一言であろう。 9.11テロ以来、米政府は戦争という残虐行為を正当化する究極の理由として恐怖に対する新たな意義を表明してきた。 偏見を持ったメディアやNGOの報告を通してイラクでの事の展開を見ていると、歴史は繰り返されるのだと思わずにいられない。 ブッシュ大統領は彼の軍をCrusaders(十字軍戦士)と呼んだが、その後、世界から、特に中東からの非難を受けてそれを撤回した。 ブッシュ大統領がこぼしたこの無分別な表現に何故それ程までに非難が集中するのか、解明してみよう。 歴史の授業でも紹介される十字軍遠征だが、時は11世紀に遡る。 神聖な誓いを成し遂げるべく、敬虔な武装勢力はイスラム教徒の専制政治からエルサレムを奪い返すことを企てた。 偉大なる倫理を掲げ、始動したものの、領主が征服された財宝を得ようとしたことにより、結果的には最も残虐で野蛮な作戦の一つに変わってしまった。 そして忠誠心を持った兵士は、略奪されるか生活を奪われる結果に終わる。 欧米と中東の間にある根深い憎悪と恐怖により、この戦いで7万人以上のイスラム教徒が拷問にかけられ、殺害されたと記されている。 長い闘いと理不尽な死を繰り返し、今のイスラム教徒とキリスト教徒間の関係があると言っても過言ではない。 両教徒の隔たりはお互いの無知無関心さが原因であるだけでなく、歴史的背景も深く起因しているのである。 世界的に赤十字で知られる団体でさえ中東では赤新月社と呼ばれている事からもアラブの国が十字、そしてそのシンボルから連想される悲劇を拒み、西洋に対する深い恨みを今もなお心に宿していることを改めて感じさせられる。 ほぼ10世紀も経ち、奇妙にも世界は再び十字軍の暗い歴史に著しく似た過酷な試練に直面している。 私達はもう、果てしない不幸、まさに人類の存亡を害する悪循環の渦に引き込まれていくほかないイラク戦争は決して解決策とならないことを学ぶべきである。 ヴァチカン市国のローマ法王パウロ二世はついに十字軍の致命的な過ちを認め、無益なイラク攻撃を始める米国に対し、説得を働きかけると発表した。 無知や無関心は恐怖の根源である。 戦争は何の解決にもならず、更なる別の恐怖を導く。 今回の意義を擁護するような、自衛隊派遣をした日本政府の決定を私達はどう説明するのか。 これはアメリカが世界に対して伝えているところの民主主義なのだろうか。それとも偽善なのか。私達はアメリカの政治的人質なのか。ノーと言うのを恐れているのか。 私達は第二次世界大戦で教訓を得たのではなかったのか。 これらの問いかけに答えられない政治家にいったい何の権利があるのだろうか?疑問は尽きない。 (終) |
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