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「アテネオリンピック・日本選手の躍進」

 アテネオリンピックが閉幕した。6時間の時差のせいで日本の選手が活躍する主要な競技が深夜に集中したにも関わらず、軒並み高視聴率を記録するなど非常に注目度の高い大会であった。人気が高かった主な理由は日本人選手の著しい活躍に他ならない。金メダル16個は1964年の東京オリンピックと並んで最多タイ、メダル総数でも1984年ロスアンジェルスオリンピックの32個を抜いて日本の五輪史上最多となる37個を獲得した。金メダル5個、メダル総数18個に終わった前回のシドニーオリンピックと比較しても倍以上の躍進を達成できた理由はどこにあったのか?
 オリンピックのメダル獲得数はその国の人口とGDPに比例するという説をとなえる経済学者がいるという。シドニーオリンピック惨敗後にJOCは向こう10年間で獲得メダル総数の倍増を図る「ゴールドプラン」を策定し、サッカーくじの収益の一部をその財源にあてるなどして先進国のなかでGDP比最低レベルにあったスポーツ振興予算を引き上げ、包括的な選手強化策を打ち出した。特に2001年に「国立スポーツ科学センター(通称JISS)」が誕生してからは、重点競技に専任コーチをつけたり、選手のフォーム分析から栄養管理、医療面でのサポートが受けることが可能になった。漸く選手も国の経済力に見合った金銭的なサポートが得られる様になったということか。一方で従来はJOCが一括管理してきたオリンピック選手の肖像権についても選手個人がプロ登録をすれば自由に広告などに使えるようになり、選手個人に対してもその努力に見合った収入を得られる道が開かれることとなり、将来の生活への不安を抱えずに競技に専念できる環境が整った。しかしながらこれら環境の変化以上に大きな要因は選手の意識の変化にある。従来は、日の丸や日本国民の期待を背負って戦う選手がほとんどであり、勝たなければいけないという使命感が強すぎるがために本番で硬くなって本来の力を出せないのが典型的な日本の選手の姿であった。しかしながら今回のアテネでは、自分の力以上に勝負強さを発揮し、期待以上の成績を残した選手が多かった。恐らく選手個人が誰のためでもなく自分自身のために目標をもってこのオリンピックに備えてきたことが成果に現れているものと思われる。どんな競技でも勝負の土壇場で本来の自分の力以上のものを出させ、勝負を決定づけるものは、コーチの力でもなく、使命感でもなく、個人の判断力と目的意識の大きさである。いい意味でずうずうしさを身に付けた選手たちに敬意を表したい。 (終)


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