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「プロ野球ストのもたらしたもの」
| 9月18,19日の両日プロ野球選手会がストライキを行った。プロ野球70年の歴史の中で始めてのことだという。ことの発端は経営者側が選手会に事前の通告もなく一方的に近鉄とオリックスの統合を発表したことにある。その上さらに経営者側はさらなる合併を実現させることにより球団数を現在の12球団(セリーグ6、パリーグ6)による2リーグ制から8-10球団に減少させセパ両リーグの統合による1リーグ制を目指すことをも示唆した。 日本のプロ野球界は永らく巨人人気に依存しており巨人以外、特にパリーグの球団は殆どが赤字経営にあえいでいるという。経営者側の目論見は1リーグ制を採用することにより現在パリーグに所属する球団に対しても巨人戦カードを提供し観客動員と放映権料を確保しようという消極的な縮小均衡策にある。球団の合併は利害の一致するオーナー同士で構成されるオーナー会議の承認事項であり、当初の目論見通りすんなり承認されるはずであったが、思わぬ伏兵が現れた。情報技術(IT)関連のベンチャー企業であるライブドアの堀江貴文社長が近鉄球団の買収に乗り出したのだ。もし近鉄の買収が認められないのであれば新球団をも設立する用意があると申し入れたのだ。 プロ野球球団を企業の広告塔と位置付け、排他的な組織の中で現在の秩序の維持を目論む経営者側は、嘗てダイエーが外資に買収されることを拒絶した時の様に価値観の違う参入者を恐れる。旧世代のオーナー達にとって、30歳代にしてバーチャルな世界で大金を稼ぐライブドアや楽天の社長の存在は彼らの硬直した価値観でははかることのできない異星人に写るに違いない。巨人の前オーナー、渡辺恒雄氏は新規参入に名乗りをあげたライブドアを「知らない人が入るわけにはいかんだろ。僕も知らないような人が。」と門前払いにした。「公正な審査をするには時間がない」というのが表向きの理由であるが、そもそもプロ野球球団の経営に失敗した者が参入者の経営能力を審査するということ自体が笑止千万ではないか。 経営者側のもう一つの誤算は選手会の力を見くびったことにある。合併による選手の雇用問題と球界縮小によるプロ野球自体の衰退を懸念する選手会は来期に間に合う様参入を認めるべきだと主張し、オーナー側との直接交渉を求めたが、渡辺前オーナーは選手会の要求に対し、「たかが選手が、無礼だ」と取り合わなかった。恐らく彼らにオーナー達と対等に交渉する力が備わっていないと考えたのだろう。小手先の対応で彼らの主張を退けようとした。しかし選手会はひるむことなく一貫した主張を続けることにより世論を見方につけ、経営者側のファンを無視した高飛車な姿勢や現在のプロ野球運営における排他性やさまざまな矛盾を白日のもとに晒し、譲歩を勝ち取った。この過程において特筆すべきは選手会長である古田選手会長の類稀なるリーダーシップである。 今後プロ野球会の発展のために必要なものは新規参入を極力促し、地域密着型の健全なリーグ運営である。そのためにはスポンサー企業の意識改革やコミッショナーの権限強化、高すぎる選手の年棒等解決すべき課題は多々あるが、今回のストライキが旧態依然とした従来の運営方法に風穴を開けたことは確かなようだ。 (終) |
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